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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

迷路性眼球反射による促通法による外眼筋麻痺へのリハビリテーション(半盲、複視を含む)

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 脳卒中では、半盲や複視が生じることがあります。半盲は視神経が半交叉することにより起こるもので、視野が狭くなると日常生活上で様々な困難さが生じます。今回、迷路性眼球反射促通法を用いた外眼筋麻痺へのリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

迷路性眼球反射による促通法による外眼筋麻痺へのリハビリテーション(半盲、複視を含む)

引用・参考文献

視覚の経路と半盲の病巣

視覚の経路について下記に記します。

 1.物体は眼球の角膜、水晶体を通過して網膜に像を結び、右側の物体は網膜の左側に、上方のものは網膜下方にと点対称的にに像を結びます。
2.網膜内の双極細胞層、神経節細胞層などで情報処理されてから視神経となり後頭葉に向かいます。
3.視交叉で両眼ともに鼻側の視神経繊維のみ交叉し、耳側の繊維は同側を走ります(半交叉)。交叉した後は視束といい、右の視束は両眼の右半分の網膜からの繊維となり、両眼とも左側の視野を投影します。
4.視束は外側膝状体シナプスを乗り換え視放線となります。
5.後頭葉視覚野に視放線は終わります。
6.情報は視覚連合野に運ばれ、形体視は側頭葉に、空間視は頭頂葉に行きます。

障害される視路の位置、程度によりさまざまな同名半盲を生じます。

眼底出血などの網膜の病変は実性暗点として自覚されるが、視経路から視覚野までの障害では虚性暗点となり見えていないことを自覚していない。
〜中略〜
黄斑回避があれば半盲側の視野も3°くらいはあり視力もよいのでほとんど正常の生活ができる。

脳卒中最前線 P344

このため、自分では見えていると思って自動車運転などを行うと大変危険になるため十分な評価と説明が必要です。

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出展:脳卒中最前線

 

半盲の検査

臨床で簡便に行え実用的な検査は対座法です。
注意点として
①指標は見えないところから見えるところへ、周辺から中心に向かいゆっくり動かす(角度5°を1秒で動かすつもりで)。
②指標を振らない(運動視の検出となってしまう)
③逆光は避け、少し暗めの所で行う。
④同じ指標を両手に持ち検査を行い、半盲部と健常部を同時刺激することで違いがわかりやすくなる。

対座法と反則空間無視との関係については以下の記事をご参照ください。

happyhealth.hatenablog.com

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半盲のリハビリテーション(代償的アプローチ)

脳卒中の半盲の約半数は3ヶ月程度である程度は回復すると言われています。
代償的アプローチとしては、半盲側を常に意識し、その方向に頭部を向けたり視線を動かすように指導する必要があります。
半盲側に物品を置いたり、半盲側から声かけを行うなどの配慮が必要です。
在宅生活では家具の適切な配置や足元に注意し、転倒のリスクを少なくします。
プリズム基底を両眼とも半盲側に装用することもあります。またフレネルプリズム幕をメガネに貼り付けることもあります。

半盲のリハビリテーション(機能的アプローチ)

促通反復療法(川平法)の手技のひとつに迷路性眼球反射促通法があります。

視野欠損(半盲、四分盲)と外眼筋麻痺へのリハビリテーションで、視野欠損は欠損視野の境界に視覚刺激を反復することで改善が得られる。

片麻痺回復のための運動療法 促通反復療法「川平法」の理論と実際 P207

「迷路性眼球反射」促通法は、迷路性眼球反射と随意的眼球運動を反復することで、脳幹障害による外眼筋麻痺を改善することが期待できます。

眼球運動は大脳皮質(前頭眼野)からの興奮が脳幹部の眼球運動神経核に伝わり、外眼筋に収縮を起こす。
脳幹障害による外眼筋麻痺は、大別して大脳皮質から脳幹にある眼球運動神経核への神経路が損傷された核上性麻痺と、眼球運動神経核自体が損傷された核性麻痺に分けられる。
「迷路性眼球反射」は、迷路からの入力に基づく反射で、他動的に頭位を変化させると元の注視点を見続けるように眼球運動が生ずる現象である。「迷路性眼球反射」促通法は、迷路性眼球反射による興奮と大脳皮質からの興奮を同時に眼球運動神経核に伝えて眼球運動を実現し、大脳皮質から眼球運動神経核、外眼筋へと繋ぐ神経路を強化するものである。

 片麻痺回復のための運動療法 促通反復療法「川平法」の理論と実際 P207

 方法

①治療者は片目で健側の目を被い、もう一方の手で頭を固定します。
②「私の顔を見て」と治療者の顔を注視させ、被験者の頭を眼球運動の制限がある方向とは逆の方向へ素早く回旋させます。
③眼球運動が最大に達した時点で、「顔を見て」と再度指示します。
*両眼での注視は、障害側の眼球運動の動きが少なくなるため、健側の目を被っています。
*他動的な頭部回旋にたいして、頸部筋の筋緊張が高まり、強い抵抗が生じますが、無理のない範囲で回旋させます。
*促通開始時に眼振が出現することがありますが、継続して行っていると消失します。
*眼球運動制限の一つの方向に対し、1日100回行うことが推奨されています。
*対象を黄斑部でとらえる機能の障害には、促通後の健側眼球の遮断メガネ(健側のレンズに紙を張りつけたメガネ)を1時間使用します。
*促通には浮動感やめまいなどの不快感を訴える場合もあり、注意が必要です。

詳しくは成書を参考にしてください。動画による具体的な手技も掲載されています。

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