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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中による複視のリハビリテーション

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複視はものが2つに見える症状であり、単眼複視と両眼複視の2種類があります。単眼複視は片目で見たときに起こる症状で乱視、白内障などで起こります。一方、両眼複視は両眼で見たときに起こる症状で、眼筋麻痺により左右の視線が一致しないことで起こります。今回、脳卒中による複視のリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていこうと思います。

 目次

脳卒中による複視のリハビリテーション

複視の症状

複視は眼の位置(眼位)による視線の方向によってズレの大きさが異なります。
患者の主訴として「ものが二重に見える」という場合や、左右どちらかが見にくい、階段を降りるときに足元がみにくいなど、視力低下ともとれる訴えであったり、ものが動いて見える、ぼやけて見えるなどと訴える場合もあるため複視と把握しにくいこともあります。
患者は片目を閉じてものを見ていますが、これはどちらの眼でみているのが本当の像か見分けがつかないためです。
階段昇降などでは立体視が行いにくいため動作のスムーズさに欠けたり、用心して歩くため歩行の困難さも伴います。また包丁で野菜を切る際には素材を切る位置が定まらなかったり、お箸でおかずをうまくつかめないといったこともみられます。
複視は慣れの作用も大きく、複視を訴える患者が1週間程度すると良くなったというが、検査(複像)をすると改善していないこともあるようです。
これは、頭の位置や眼の動かし方を自然に工夫・学習したり、麻痺側の眼の像を無意識に抑制したことによるものと考えられます。
複視患者の30%が脳血管障害、糖尿病含む循環障害であるとされています。

眼筋の働き

脳卒中による複視では、動眼神経、滑車神経、外転神経の麻痺によるものです。
動眼神経は上直筋(作用は上転、内転、内方回旋)、内直筋(作用は内転(水平方向のみ))、下直筋(作用は下転、内転、内方回旋)、下斜筋(作用は上転、外転、外方回旋)を支配しています。
滑車神経は上斜筋(作用は下転、外転、外方回旋)を支配しています。
外転神経は外直筋(作用は外転(水平方向のみ))を支配しています。

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評価

両眼複視の確認をはじめに済ませておきます。
臨床では最大のズレを生じる方向(上、下、右、左、斜右上、斜右下、斜左上、斜左下、寄り目(輻輳))と最小方向を確認します。ズレが最大になる眼位での作用筋が麻痺している筋肉になります。
指先を各方向に動かし、追従する眼の動きの角度、速度、その位置での維持(持久力)を確認し、左右差を見ていきます。
眼瞼下垂や瞳孔異常も確認しおき、片眼のみでの運動機能についても評価していきます。
眼科ではヘス赤緑テストやシノプトフォアなど、定量的に評価することができるので、測定機器がある眼科を把握し、連携をとることは大切になります。

複視の治療

一般的にはビタミン剤、ステロイド、循環改善剤が用いられますが、これらが本当に有効なものかは定かとはなっていません。
眼筋麻痺では約3ヶ月で半数は正面視での複視は消失するといわれており、そのため早期からの手術は禁忌となります。
約半年経っても改善されない場合手術を検討することになります。
手術以外の患者では、プリズム眼鏡やフレネルプリズム膜での矯正や、眼帯をかけることで対応も可能です。

複視のリハビリテーション

エビデンスはないですが、私が普段臨床で行なっている方法を紹介していきます。
評価により動きのスムーズさや、動く範囲の乏しい眼球運動方向への運動を促していきます。その際、ゆっくりとした速度、速い速度で追従させる事や、最大の眼位で維持させることも行います。眼球運動のリズムという点から、メトロノームを使用し、様々なリズムで眼球運動を促すようにしています。
動きやすい方向に最大限の力で動きを出させ、その後弛緩させ、その後動きを促したい方向に動かしてもらうような収縮と弛緩を利用する方法も行なっています。
文字盤を貼ったUSNトレーナーを正面数センチに置き、上から順に読んでもらい、眼球運動を促す方法もとります。
注意障害の改善のために行う机上課題(使用しているのはわかさ生活の眼球運動トレーニングの用紙)を用い、スムーズな眼球運動を促しています。
大切な事は日々患者の見え方を確認し、眼球運動の状態と照らし合わせながら必要と思われる内容を繰り返していくことです。
なお、複視がある場合運転に支障をきたす場合もあるため、運転再開には慎重になる必要があります。
外眼筋麻痺に対する別のアプローチとして、「迷路性眼球反射促通法」があります。これについては、以下の記事を参照してください。

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参考文献