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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

把握動作の障害〜物体の把持力の維持、調整のメカニズムと回復への指針〜

リハビリ 感覚

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 把握動作の障害では、持っているものを落としてしまったり、変形しやすいものや壊れやすいものを常に力を入れすぎて把握してしまったりするということが観察されます。今回、物体の把持力の維持と調整のメカニズムと、リハビリの指針について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

把握動作の障害〜物体の把持力の維持、調整のメカニズムと回復への指針〜

知覚障害と物体の把持の維持、調整

ある対象物を把持する場合、私たちは物体の重量や表面の材質などの特徴に応じて把持力を調整し、対象物を落とさないように適度な力を加えています。
知覚障害がある場合、把持力の調整や維持が困難となり、物体を落としたり、逆に落とさないように力を入れすぎてしまうことがあります。
私たちは材質に合わせて把持力をコントロールしますが、滑りやすいものほど力を込めて把握しています。

加圧のコントロールは、物体を落とさないようにしているだけでなく、運動・動作を最大限に生かすようにも調節されている。

知覚をみる・いかす 手の知覚再教育 P10

ともあり、手が物体の操作を円滑に行うためには、物体を落とさない程度の最小限の力を加えるような加圧のコントロールが行われています。
必要以上の力で物体を把持すると、物体に操作をくわえる事は困難となってしまいます。
手指の知覚障害があり固有感覚が残存している例では、上肢全体に常に力が入っているような状態になります。固有感覚は筋緊張を高めた方が感受性が高まり、筋の抵抗感が認識しやすくなるためです。固有感覚優位の動作では、動作はスムーズさを欠き拙劣になってしまいます。

遅順応型受容器と物体の把持の維持、調整の関係

物体の把持力の調整を可能にするメカニズムについて説明します。
物体に適切な力を加えたり、力を一定に維持するためには、動的な刺激に対する反応が大きいか小さいかという、刺激の強弱を知る事が必要です。刺激の強弱を知るための受容器は、遅順応型のメルケル細胞やルフィに終末です。

機械受容器のうち遅順応型(SA)の受容器は、触刺激を加えるとその間中インパルスを発射し、刺激を取り除くとインパルスの放電は止まる。つまり遅順応型の受容器は、触刺激に対してオンーオフの情報を正確に伝える。さらに刺激を強くすると、それに応じてインパルスの放電頻度をを増加する。このような遅順応型受容器が障害されると、物体を把持し続けたり、把持力をコントロールするのが困難となる。

知覚をみる・いかす 手の知覚再教育 P32

把握動作の評価

患者の必要な、または困難と感じている動作に対して実際に観察を行います。
また、触覚障害のスクリーニング検査として、Mobergのピックアップ検査があります。

happyhealth.hatenablog.com

把持力の維持、調整に深く関連する検査として、静的触覚(閾値)検査があります。

happyhealth.hatenablog.com

把握動作改善に向けて

把持力のコントロールを学習する場合、最終目標は閉眼にて把持力の調整が行える事です。
静的触覚の障害により把持力が調整できない場合、個々の筋の筋力強化、握力やピンチ力を増強するようなトレーニングは行ってはいけません。逆に力を過剰に入れてしまう事を助長してしまいます。
そのため過度な力を抜きながら、適切な加圧を維持させること、物体の性質に合わせて把持力をコントロールできるように進めていきます。
具体的には、加圧センサーを使用し加圧の状態をフィードバックさせたり、弱い力でパテ(セラプラスト)を握らせて、把握の結果を確認させる方法があります。加圧のコントロールが不良だと、球形にすることが難しくなります。

引用・参考文献