読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

手の実用的使用のための2点識別の理解と検査

【スポンサーリンク】

2点識別は手を実用的に使用するために重要な役割を果たしています。末梢神経損傷、中枢性疾患ともに2点識別覚を検査することは重要な意味があります。今回、2点識別覚の理解とその検査方法について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

手の実用的使用のための2点識別の理解と検査

2箇所の刺激を識別するメカニズム

2点識別覚の検査は、識別できる2点の最短距離を計測します。2点識別閾は手指が最も識別でき、指先で3〜5㎜、体幹では35㎜以上です。
指先が識別しやすい理由は、単位面積当たりの機械受容器の分布密度が高いためです。

 手指の手掌面には約17,000の触覚受容器があり、そのうち遅順応型は44%、速順応型は56%といわれている。指腹ではこれらの分布密度がきわめて高いため、分解能に優れている。

知覚をみる・いかす 手の知覚再教育 P33

このことから、2点を識別するためには、受容器と神経繊維の単位が高い密度で分布していることが必要になります。
また、神経回路の側方抑制効果も2点の識別を行いやすくします。
神経回路の側方抑制により、空間的分解能が高められます。
側方抑制が働かない場合、抹消刺激はシナプスの中継所毎に拡大され、精密さを失った状態で、より広範に中枢神経に再現されることになります。
実際にはシナプス中継所では、興奮した各ニューロンは介在ニューロンを介して知覚細胞に抑制効果をもたらします。刺激に対する最大の入力を受けた細胞は、周辺の細胞に強い抑制をかけることにより、抹消刺激の情報はより鮮鋭となり、中枢における再現の鮮鋭化が起こります。

 2点識別覚検査を行う意義

動的2点識別覚は手の識別機能と最も関係が深いといわれています。
末梢神経損傷では、2点識別覚を測定することで、閾値に達した受容器の分布密度の予測が可能です。
静的2点識別覚は速順応型の受容器、動的2点識別覚は遅順応型の受容器における分布密度を測定することになるといわれています。動的2点識別は静的2点識別より早く回復し、触覚の回復・増悪を判断するためには、両2点識別覚とも2㎜以上の値の変化が必要となります。
中枢性疾患では、第1体性感覚野3b野への投射が良好かどうかを調べることになります。2点識別の値が小さいことは、皮質への投射が良好であり、皮質までの経路における側方抑制機能が良好であることを示唆します。手の場合、細かな識別機能に障害がないことを示唆しています。脳卒中では、静的2点識別覚が正常でも、動的2点識別覚が異常となる例もあるようです。
知覚再教育の効果判定に用いられることもあります。

2点識別覚の検査方法

必要物品:
ディスクリミネーター

準備:2点と1点の刺激を与え、刺激の理解をさせておきます。

静的2点識別
指の長軸と平行に、皮膚が白くならない程度圧で2点刺激を加えます。

動的2点識別
指の長軸に対して交差するように2点を当て、指腹中央から指尖まで皮膚に軽く圧をかけながら約2秒かけて動かします。

*時折1点刺激も加えながら、2点の識別が行えているかを確認します。徐々に距離を狭め、2点と識別できる最短距離を測定します。
*5㎜から始め、反応が良好な場合は1回、反応が遅くなったり、間違え始めたら同じ間隔で3回行い、そのうち2回正答できる最短距離を記録します。5㎜が識別できない場合には、2点の間を広げていきます。

判定基準

指腹では静的2点識別は3〜5㎜であれば正常、10㎜以内であれば手は実用的に使用できるといわれています。動的2点識別では、45歳以下では3㎜以内、46歳以上であれば4㎜以内が正常であるといわれています。また6㎜以内であれば物体識別が良好です。

静的2点識別(アメリカ手の外科学会による)
静的2点識別<5㎜ 正常
6㎜<静的2点識別<10㎜ 良
11㎜<静的2点識別<15㎜ 可

動的2点識別(Dellonによる)
45歳以下          46歳以上
動的2点識別<3㎜ 正常  <4㎜ 正常
      >4㎜ 異常  >5㎜ 異常
      ≦6㎜ 物体識別良好

引用・参考文献