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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

固有感覚障害のスクリーニング検査:母指探し試験

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以前、知覚障害のスクニーリング検査としてMobergピックアップ検査を紹介しました(詳しくはこちらから)。その中で観察を通し、「手の到達」「物体の移動」に問題がある場合、母指探し試験を行い、固有感覚のスクリーニングを行うことが推奨されます。今回、文献を参考にしながら母指探し試験の行い方とその解釈についてまとめていきたいと思います。

 目次

固有感覚障害のスクリーニング検査、母指探し試験

母指探し試験の意義

母指探し試験は、空間での手(主に母指など)の位置の認識が可能かどうかを調べる検査です。
手を使用するには、母指の位置の認識が重要で、それができなければ手を自由に使用することは困難となります。
母指探し試験の検査が悪い場合(固有感覚の障害)には、視覚に頼った到達運動を行うと、固有感覚を用いて手の位置を認識することを妨げてしまうことにつながってしまいます。
母指探し試験での母指の位置の認識は、身体内空間知覚によって成り立ちます。身体内空間知覚を働かせるには、肩・肘・腕・指からの固有感覚情報が統合することが必要と考えられています。どこかの関節の固有感覚情報が乏しくても、またそれぞれの関節の固有感覚情報が正確でも、統合機能が働かない場合は身体内空間知覚は障害され、母指探し試験の成績が低下します。

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検査方法

固定肢:
セラピストは一方の手で患者の手指を包むように持ち(母指は外しておく)、他方の手で患者の肘関節付近を持ち、空間内に患者の上肢を固定します。

運動肢:
患者が固定肢の母指の先を反対側の母指と示指でつかむ時の上肢です。

①検査前に、運動肢の鼻指試験、耳指試験を行い、問題なく行えるかを確認しておきます。
②開眼にて母指をつかめるかどうかを確認します。
③閉眼させ、セラピストが固定肢を動かし固定し直した後、母指をつかめるか確認します。
*固定肢はリラックスさせておきます。
④固定肢の位置を一回の動作毎に行い、数回以上の結果を総合的に判断します。
⑤固定肢と運動肢を変えて上記と同様に検査します。

判定

正常の場合、正確に、スムーズに、迅速に母指を探すことが可能です。
障害度
1度:数㎝のずれ。すぐに修正可能。
2度:数㎝以上のずれ。固定肢の母指周辺を探り、運動肢が固定肢の一部に触れるとそれを伝うように母指に到達する。
3度:10㎝以上のずれ。運動肢は空間を探り、容易には固定肢には到達しない。運動肢が偶然固定肢に触れなければ、諦めてしまう。

母指探しが行えない原因

患者は固定肢を能動的に固定した場合は母指探し障害は現れないため、固定肢からの固有感覚情報不全による関節定位覚の障害であると言われています。
また特定の関節による母指探し障害には関与しないとされており、母指探し試験は身体内空間知覚による、体軸に対する母指の位置の認知が必要になります。
運動肢の運動機能(運動麻痺:検査方法②で確認)や運動肢の固有感覚(反対側の頭頂葉、小脳、錐体外路系:事前検査で確認)は原因として除外されます。

考えられる原因として、

他動的に固定された上肢からの感覚情報で、固定位置覚すなわち関節定位覚と称しているものである。これは、固定肢の末梢神経から頸髄、脳幹、視床を経て反対側の大脳頭頂葉に達し、そこで統合されるものと考えられる。

両側の頭頂葉機能をせしめる交連繊維である。

知覚をみる・いかす 手の知覚再教育 P53

固定位置覚(関節定位覚)は意識に上らない感覚で、検査などの一連の動作を通じてはじめて知ることが可能になります。
母指探し試験での成績低下があれば、各関節の固有感覚(位置覚、運動覚)を検査していくことになります。

 引用・参考文献