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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

知覚(触覚)障害による手のフォームの障害と改善のためのリハビリテーション

リハビリ 感覚

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物を操作するには物の形状に合わせ、最適で効率的な手のフォームを作る必要があります。知覚障害があると、手のフォームをうまく作れず、そのためにうまく動作が行えないということがよく観察されます。今回、知覚障害による手のフォームの障害と、その改善のためのリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

知覚(触覚)障害による手のフォームの障害と改善のためのリハビリテーション

手のフォームの決定までの過程の分析

手を使い物を操作する場合、物の特徴とその用途・目的により手のフォームを変えます。またそのフォームを維持して、物の性質や形状に合わせて手を当てることもできます。
手のフォームの決定には第1体性感覚ニューロンの中の、握り方の認識に関わるニューロンが関与しています。

中心後回の後半部分、1野と2野では、個別の指ではなく、手指の特定の面を刺激すると興奮を起こすニューロンがあり、何本かの指に対応する部分の組み合わせ、たとえば指先だけの組み合わせ、指背面だけの組み合わせといったように、機能面に意味のある複合的な情報を受けているニューロンが多くなる。これらのニューロンでは、細かい手の場所の情報は失われるが、代わりに広い部分に接触した対象の性質を検出できるようになる。これらの面は何らかの機能、すなわち対象の保持、対象のもつ特徴の分析などに関係している。

知覚をみる・いかす 手の知覚再教育 P38

対象物の形や大きさ、材質などにより握り方、持ち方が決まっており、その物に適した手の形が決まり、対象物に接触する皮膚の部分が決まります。

手のフォームの評価

尺側握り検査:
小指中手骨骨頭部に細い棒を置き、小指を屈曲させ5秒間把持します。
運動麻痺がなくての知覚障害がある患者では開眼時と比較し閉眼時では成績が低下し、閉眼では保持出来なくなることがあります。

把握の型:
様々な把握の型(様々な大きさ、形状の物品や道具による違い)に対して、困難あるいは安定しない把握パターンを評価します。

・把握握力(標準型)

手掌上斜めに置かれた棒状物体を、曲げた全部の指と母指と手掌でしっかり固定する型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、包丁や金槌、片手鍋の柄を持つ、雨傘をさすなどの際に見られます。

・握力把握(鉤型)

手掌上ほぼ真横(前腕長軸に対して垂直)に置かれた棒状物体を、曲げた全部の指と手掌で均一に巻き込んで固定する型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、カバンの把手を吊り下げて持つ、ビールジョッキの把手を持つ、うちわを持つなどがあります。

・握力把握(示指伸展型)

手掌上斜めに置かれた細い棒状の物体を拘束する時に現れる型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、編棒やフォークを使うなどの際に見られます。

・握力把握(伸展型)

手よりも大きな扁平物体をしっかり拘束する時に現れる型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、重みのある皿を平らに持つ、重い本を平らに持つ、ボウル(容器)を持つなどで用いられます。

・握力把握(遠位型)

指の使われかたが標準型に似ているが、手掌が関与しない型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、爪切りを使う、裁ちばさみをつかう、爪楊枝を使うなどで用いられます。

・側面把握

小さな扁平体の拘束に使われることがある型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、鍵を鍵穴に差し込む、メジャーテープを左右の手で引っ張る動作などで用いられます。

・三面把握(標準型)

細長い道具(例:筆記具)の拘束に使われることがある型。

手を診る力をきたえる P25

日常生活の中では、チョーク、鉛筆、印鑑、リップスティックなどを使う際に用いられます。

・三面把握(亜型Ⅰ)

細長い道具の拘束に使われることがある型。三面把握ー標準型に似ているが、母指がこれより内転位にある。

手を診る力をきたえる P26

テーブルスプーンを使うなどの際に用いられます。

・三面把握(亜型Ⅱ)

同じく細長い道具の拘束に使われることがある型。三面把握ー標準型に比べ、環指などの尺側指が拘束に加わる点が異なる。

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、箸を使用する際に用いられます。場合によっては、耳掛き棒や筆を使う際にも現れます。

・並列軽度屈曲把握

筒型、角型その他の物体を、並列させて軽く曲げた指とこれに向き合う母指との間で拘束する型

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、グラスを持つ、猪口を持つなどで用いられます。

・包囲軽屈曲把握

円板、球、直方体などを多方向から指で囲んで拘束する型。

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、茶筒の蓋を引き抜く、大口瓶の蓋を上から持つ、ボールを取り上げるなどで用いられます。

・指尖把握

非常に小さい物または薄い物を拘束する際に現れる型のひとつ。

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、針やクリップをつまみ上げるなどの際に用いられます。

・並列伸展把握

平たく大きい物体を拘束する際に現れる型のひとつ。

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、折りたたんんだトイレットペーパーを持つ、サンドペーパーを持つなどの際に用いられます。

・内転把握

母指以外の隣合う2本の指の間に物を拘束する型。

手を診る力をきたえる P26

日常生活の中では、タバコを指に挟むなどの際に用いられます。

 手のフォームの障害に対するリハビリテーション

上記の手のフォームを分析し、それによってフォームのどこをどのように変えるべきかを患者に指導していきます。
分析では、「◯◯(道具)を把握握力(標準型)に近いフォームで掴んだが、尺側指列の屈曲が不十分で安定した把握とはならなかった」というような記述となり、運動麻痺や失行の患者への分析としても適応可能です。
知覚障害が主となっている場合は、安定しない把握パターンに対して、閉眼で動作学習を行います。
触覚障害の改善が期待できない場合には、物体の表面や柄に識別しやすい性質の生地(ザラザラ感)を巻くなどで、手が接触する面を識別しやすいようにします。

引用・参考文献