自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

握り(把握)動作の種類と特徴ー解剖・運動学的視点からー

【スポンサーリンク】

握り(把握)動作は日常生活上の様々な活動に活躍しています。単に手指を屈曲するだけでなくて、対象物の形状に合わせて把持力を調整しながら効率的で最適な運動が行われています。今回、握り動作を解剖・運動学的視点から、文献を参考にまとめていこうと思います。

 目次

握り(把握)動作の種類と特徴ー解剖・運動学的視点からー

つかみ動作

つかみ動作(ボールグリップ)は「鷲づかみ」とも言われており、手指の間を大きく外転させ(開き)、ボールをつかむ際に用いられる動きです。
この握り動作では、手内在筋と外在筋、また伸筋群と屈筋群が強調して運動範囲や力のコントロールがなされています。
対象物をつかむ際、手を近づけていきますが、手の接近とともに手指の伸筋が全て主動作筋として働きます。また手関節の屈筋群軽度に共同して働くことで、よりスムーズなつかみ動作を実現しています。
対象物を握る時には手指屈筋が働きますが、同時に手関節伸筋群が共同して働き、手関節背屈によって手掌面の方向が変わり、より対象物に密着できるようになります。
つかみ動作では手指に関する全ての筋の働きが必要であり、各手指の関節は同じように動いているという特徴があります。
小さいボールから大きいボール(バスケットボール)まで、様々な大きさに対応して握り動作を変形させることができます。

ハンマーグリップ

ハンマーグリップはパワーグリップとも呼ばれており、把握動作の中でも特に大きな力を発揮することができます。日常場面での代表的場面では、金槌を握る動作、包丁を握る動作、片手鍋やフライパンの取手を握る動作があります。
手指で対象物を丸め込みながら、手掌面でそれを受け止める動作が含まれます。
母指の動きも重要で、対象物をより確実に把持するため補助的に作用しています。
母指の欠損がCM関節レベルである場合、CM関節での痛みがある場合は、対象物を握る際に母指球による押さえ動作が低下してしまい、確実に把持することが難しくなります。
このようなことからも、ハンマーグリップでは母指の対立動作が重要になることがわかります。CM関節と第一中手骨が存在し、筋の作用がしっかりとしていれば、対立アーチが崩れることなく存在するため、握り動作を行いやすくなります。
パワーグリップは握力テストの際に見られる肢位ですが、手指屈筋群全ての力源を用います。また、その筋作用を伝達する環指、小指は重要な働きを担っており、この力の中心である深指屈筋や虫様筋がしっかりと働く必要があります。また小指、環指のCM関節の屈曲も加わることで、小指球が握り動作に参加し、より強力な把握が可能になります。尺骨神経の損傷があると、握力は大きく低下することになります。
基本的には屈筋群の中でも外在筋が主動作筋となりますが、握る対象物が小さければMP関節をより屈曲しなければならないため、MP関節屈曲の力源である虫様筋の働きも重要になってきます。
フライパンの柄を持ち、操作するのであれば、力学上では柄の長軸が前腕長軸の延長線上にあることが有利ですが、手関節尺屈も協調的に行うことである程度その状態に近づけることが可能になります。
関節リウマチの患者では、つかみ動作やハンマーグリップを行うと生理的偏位力を強めるため避ける必要があります。

フックグリップ

フックグリップは鞄の把手を吊り下げて持つ、ビールジョッキの把手を持つ時などに使用される動作です。基本的にはIP関節屈曲で行いますが、場合に行ってはMP関節屈曲も加わり、また手掌面も利用することで固定力を増したり、耐久性を維持しています。
フックグリップの主動作筋は外在筋の浅い指屈筋や深指屈筋ですが、これらの筋は等尺性収縮を利用し、外力に対する保持作用を中心としています。
フックグリップを長時間行う場合、MP関節の屈曲も加えながら肢位を変化させることもあり、これには虫様筋の働きも必要になってきます。

参考文献