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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

巧緻動作障害に対するリハビリテーションの実際

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巧緻障害の捉え方とリハビリテーションの考え方について、調べる機会があったので、文献を参考に知識の整理を行いたいと思います。

 目次

巧緻動作障害に対するリハビリテーションの実際

上肢動作を構成する基本的要素

手指を用いる動作では、手指の運動だけではなく上肢全体でのリーチが先行し、物体に対して手を空間内の適切な位置に移動することが必要です。また手関節や前腕の動きで手掌の向きを適切な方向に調整し、体幹の動きも重要になってきます。さらに目と頭部の運動ん協調により対象物の視覚的な補足を加える必要があります。

上肢動作を構成する基本的要素は、
①目標点の視覚補足(眼と頭部運動の協調性)
②リーチ(空間での手や腕の移動)
③手指動作(把握・把持、物の開放)
④姿勢制御(身体の定位と安定)が主に挙げられます。

巧緻性を構成する要素

巧緻性を構成する要素として、ひとつには「方向調整」があります。これは目的とする方向へ正確に手を移動させる機能です。
二つ目には「時間調整」があります。これは速さ(速く、ゆっくり、徐々になど)といったリズムをとる機能です。
3つ目には「力の調節」があります。これは物体を把持した時にいかに適度な力加減を行うかに関する機能です。
これら3つの機能が発揮されることで巧緻的な動作が行えます。

巧緻動作を障害する要素の評価項目

巧緻動作(ペグボードなど)では、それがどのようなパフォーマンスで行われているかを評価することが重要になります。
パフォーマンスの低下に影響する原因としては、大きく運動機能、感覚機能、高次脳機能などがあります。
また、パフォーマンスを発揮する上では意欲や協力的かなどの自発性や、性別、年齢、職業、生活習慣などの個人因子や環境因子を考慮する必要があります。
これらのことから、巧緻動作障害を捉えるためには、スキルとして①目標点の視覚補足(眼と頭部運動の協調性)、②リーチ(空間での手や腕の移動)、③手指動作(把握・把持、物の開放)、④姿勢制御(身体の定位と安定)。
巧緻性の要素として①方向調整、②時間調整、③力の調整。
機能障害として①運動機能、②感覚機能③高次脳機能。
さらには個人因子や環境因子からも評価をしていくことが必要になります。
感覚機能については過去の記事も参照してください。

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巧緻動作訓練の基礎知識

どの訓練にも共通する要素となりますが、プラン作成の参考になるものとして、
①簡単な動作から複雑な動作(ゆっくりとした動作から速い動作)へと進める。
②少ない筋(関節運動)の参加する運動から多くの筋(関節運動)へと進める。
③抵抗の少ない運動から習熟するに従い、抵抗の多い運動へと進めていく。
④中枢(近位)側から抹消(遠位)側へとコントロールを行う。
⑤正しいパターンの繰り返しを行う。
⑥疲労や運動時の痛みが伴わないようにする。
⑦訓練に集中できる環境を確保する。
⑧訓練が進行するに従い、より少ない集中力や努力で行えるようにする。
があります。

巧緻動作の段階付けの考え方

巧緻動作の段階付けを行うには、巧緻性の要素である①方向調整、②時間調整、③力調整を元に考えるとわかりやすくなります。
巧緻動作課題で失敗した場合、方向調整であればリーチにおける肩関節と肘関節運動を中心とする方向付けに問題があるかもしれません。
時間調整であれば、リーチでの運動速度が誤っていた、あるいは把持した物体を指からリリースするタイミングが誤っていたからかもしれません。
力の調整であれば、つまみ力の調整が誤っていたからかもしれません。このような問題に対してそれぞれへの段階付けを行う必要があります。
なお、段階付けにはペグボードを使用すると便利です。

段階付けの例

方向調整:動作方法:リーチ方向(前後左右上下)
          リーチ距離(短い、長い)
          リーチの軌道(直線、曲線、方向転換とその数)

     器具:ボードとペグの置く位置
        ボード穴の位置
        ボード穴とペグの大きさ

時間調整:動作方法:速く・遅く・徐々に速くなど(緩急自在)

     器具:ストップウォッチ、メトロノーム、ペグの形や大きさ

力の調整:動作方法:強く・弱く(強弱自在に)

     器具:ペグの重さ、ペグの表面素材、ペグの大きさ・形、
        ボードの穴とペグの大きさ

共通の段階付け:掴み方とつまみ方、片手動作と両手動作(左右同じ、異なる動作)
        回数(時間)

反復訓練

習熟を要する動作に至るまでは数百万回以上の繰り返しが必要とされています。
運動全体の記憶(エングラム)が強化されるには、多くの反復動作が必要であり、エングラムが確立されると、複雑な随意運動が協調的に実行されるようになっていきます。
巧緻動作障害の改善では、好ましくない反応(運動)を抑制しながら、適切で正確な運動を繰り返し、運動の記憶を確立していく必要があります。
実際の訓練では、繰り返しの回数と期間は患者の状態によってことなるため、そのパフォーマンスを評価していく必要があります。
評価の視点には、①パフォーマンスの時間短縮②正確さの向上③誤りの減少④複雑な課題への適応性⑤課題遂行時の努力性、注意努力の減少などがあります。加えて患者の主観的な実行度や満足度を評価することも必要です。

巧緻動作と感覚

巧緻動作が上手く行われるためには、素材の識別や力のコントロールなどの感覚の評価、訓練も重要になってきます。またアクティブタッチとの関連性を考えることも大切になります。

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巧緻動作と手指関節

臨床経験上、PIP関節の調整を行うことで、主観的に巧緻動作が行いやすくなったという声を聞くことが多数あります。

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巧緻動作訓練と日常生活への適応

器具を使用した巧緻動作訓練も大切ですが、訓練で獲得された巧緻性を日常生活に活かしていくことも大切です。そのため、患者にとって必要な作業を選択し、それに伴う巧緻的要素の訓練を行う必要があります。これは患者の意欲を引き出しながら訓練するためにも重要な考え方です。
合意した目標を元にした作業の選択と、作業の分析、アプローチが重要な考え方の元になります。

引用・参考文献