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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中における上肢挙上機能(90度以上)の強化ー筋出力向上を目的にー

脳卒中 リハビリ

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以前、脳卒中における上肢挙上機能(90度まで)の筋出力の強化方法を記事にしました。今回、上肢を90度以上挙するために必要な要素と、その強化方法を筋出力を中心として、文献を参考にまとめていきたいと思います。リハビリの参考になれば幸いです。

 目次

脳卒中における上肢挙上機能(90度以上)の強化方法

肩甲骨の安定性

上肢を90度以上挙上するためには、肩甲骨が安定した土台として機能する事が重要になります。
上肢外転運動における肩甲骨の動きと関連する筋の働きを見ていきます。

  • 僧帽筋上部線維の挙上、上方回旋と僧帽筋下部線維の下制、上方回旋が同時に生じ、挙上下制すが相殺され純粋な上方回旋が生じる
  • 僧帽筋中部線維の内転、上方回旋と前鋸筋の外転、上方回旋が同時に生じ、内転と外転が相殺され純粋な上方回旋が生じる
  • 棘上筋→三角筋の順で活動
  • 骨頭の上方変位を防ぐために、前面の肩甲下筋と後面の小円筋、棘下筋が骨頭を下方に引き安定させる

上記のような肩甲骨運動で見られる筋の相互作用を肩甲骨のフォースカップルといいます。
このような肩甲骨の純粋な上方回旋を行うためには、肩甲骨前方突出の動きが重要になります。
肩甲骨の前方突出がうまく行えない原因としては①主動作筋である前鋸筋の機能不全、②肩甲骨を胸郭上に安定させる僧帽筋中部、③下部繊維の機能不全、菱形筋や広背筋の過剰収縮などが考えられます。
肩甲骨が前方に動く際には、前鋸筋が肩甲骨前方突出をさせている間に、僧帽筋中部繊が前鋸筋よりもわずかに弱く同時収縮します。また肩甲骨の上方回旋の角度に応じて僧帽筋下部繊維も活動を強めます。
菱形筋が優位の場合、1STポジション外旋で菱形筋の外形が明確になり、外旋の代償として肩甲骨内転と下方回旋が生じます。また代償を防ぐために、他動的に肩甲骨の内転を抑制すると、外旋可動域と筋力は低下します。この場合、前鋸筋の筋力低下も示唆していることになります。

肩甲骨前方突出としての突き出す動作

上肢挙上を可能にする要素の一つである肩甲骨前方突出は、動作レベルに変換すると「突き出す動作」となります。
これは、上腕骨長軸方向で体幹に向かって加わる力に対して筋出力を発揮する動作といえます。
前鋸筋の機能不全などにより突き出す動作ができないと、肩を90度以上挙上しようとすると肩を後方に引き込んで動作しようとします(菱形筋が優位となっている場合もあり)。
この肩を後方に引き込む動作は肩甲骨上部の内転で行われるのですが、これでは肩甲骨の内面や前方で肩甲骨を動かす筋(前鋸筋、僧帽筋中部・下部繊維など)の活動は抑制されるようになります。この場合肩甲骨の内面は浮いた状態で、肩甲骨の体幹への固定力は不十分となり、上肢の挙上動作は不安定なものとなります。
このような動作方法では肩甲骨、上腕骨間の位置関係はタイトになり、肩関節を痛める可能性があります。
肩甲骨内転を伴う上肢の挙上は、「やめてっ!」と身を引きながら逃げる時の動作と同じ形となります。
本来の突き出す動作は、

胸郭の前後にあって肩甲骨を動かす筋である僧帽筋や、前鋸筋や大胸筋などを働かせて、手を出す方向へ肩甲骨を突き出すように動かしながら、同時に前後から肩甲骨を体幹に固定します。そして、その動作と同時に手を出す方向へ、まず体幹を回旋させ、そして手を出す方向へ肩関節の位置を決めながら肘関節を伸展させて体位をつくり、その全身位置を両足で支持するとともに、肩と手を抵抗に対して突き、押し出すことによって移動してくる体幹を押し戻す動作になります。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P126

とあります。

突き出す動作を通しての肩甲骨前方突出の強化方法

①端座位、肩関節屈曲90度、肘関節伸展0度で正面に突き出す形を作ります。
②手根部から前腕長軸・中枢の方向に抵抗を加え、それを押し返すように力を入れてもらいます。
*手根部に抵抗を加えることで、手関節に痛みが痛みが生じることを予防しています。
*肩関節の角度を90度以上に保ちたい場合は、アームスリングや、セラピストの大腿を土台として支えるようにしてください。

筋出力強化の考え方や、声かけの方法などは過去の記事を参考にしてください。

引用・参考文献