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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

手の指の関節の動き、痛みの解消法!PIP関節のリハビリテーション

関節可動域

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以前、MP関節の拘縮に対する可動域訓練の知識と方法についての記事を書きました。今回は、PIP関節に焦点を当て、文献を参考にしながら、その知識と訓練方法について整理していきたいと思います。

 目次

拘縮を防ぐ!指のPIP関節の可動域訓練の知識と方法

PIP関節の特徴と拘縮について

蝶番関節ですが、構造としては螺旋関節のようになっています。そのため、屈曲・伸展運動だけでなく、多少の回旋現象を伴います。
自然に指を伸ばした時には、PIP関節は屈曲位をとります。そのため、屈曲拘縮(伸展できない)になりやすい関節です。
PIP関節では、十字形靭帯性腱鞘と輪状型靭帯性腱鞘が入り乱れており、その中を2つの屈筋腱が走行しています。MP関節レベルでは屈筋腱が骨の近くを走行し、PIP関節のレベルでは表層に出ていきます。深指屈筋腱がトンネルのような形をして、その下を深指屈筋が走行し、浅指屈筋は2つに分かれ、トンネルを形成せず、深指屈筋の下に入るようにしながら中節骨に停止します。
掌側板と深指屈筋、浅指屈筋、その上に十字形靭帯性腱鞘が真ん中に位置し、両脇に輪状型靭帯性腱鞘が位置しています。2つの輪状型靭帯性腱鞘により、腱を浮き上がらせないように作用しています。
十字形靭帯性腱鞘は、屈曲に従い、腱が浮き上がるのを許すように作用します。その際掌側板が重なるように近位に近づき、近位部にある手綱靭帯が重なるように縮んでいきます。その反面、手綱靭帯が短縮すると、伸展ができなくなります。同時に、掌側板全体が肥・硬化すると、これも伸展を制限します。このことからも、PIP関節は潜在的に屈曲を保つ傾向があり、手を使わなくなると、短縮を起こして屈曲拘縮の原因となりやすいです。
屈曲傾向があると、指伸筋は基節骨の中央部から側索と中央索、側索に分かれ、側索は両脇を通りながら、中節骨遠位で合流し、末節骨基部に停止します。その部分は三角靭帯でコントロールされ、これ以上開かないようになっています。
しかし、屈曲においては、側索が両脇に落ちるような形となり、この状態が続くと、これらを支えている靭帯も伸張され伸びなくなってしまいます。また側索を含めた部分を引っ張る虫様筋や骨間筋は屈曲位にあると、癒着してしまい、伸展作用がなくなります(筋収縮が起こっても腱の滑動がみられない)。

PIP関節の側副靭帯と靭帯性腱鞘

MP関節とは異なり、側副靭帯は屈曲・伸展に関わらずその緊張度は変わらないと言われています。
掌側板につく副靭帯には、掌側板の近位部に付く手綱靭帯、十字形・輪状型靭帯性腱鞘もあります。この部分が損傷を受けると、屈曲拘縮を起こしやすくなります。
DIP関節との関連では、支靭帯があり、その斜繊維が緊張すると、PIP関節では屈曲、DIP関節では伸展という構造になります。

PIP関節の運動

屈曲と伸展です。
屈曲は掌側板板などの結合組織、軟部組織の制限因子により他動的な運動が制限されます。伸展は掌側板によって制限され、運動域は制限されます。伸展域は他動的に少し広げることが可能です。

PIP関節の筋作用

 

MP関節

PIP関節

DIP関節

虫様筋

屈曲

伸展

伸展

浅指屈筋

(屈曲)

屈曲

 

深指屈筋

(屈曲)

(屈曲)

屈曲

指伸筋

伸展

(伸展)

 

()は補助筋

 浅指屈筋は、肘関節をまたいで走行しているために、その伸張には、肘を伸展位で行うことが重要です。

PIP関節での腱の滑動

伸筋腱はで約3㎜程度の滑動現象が見られます。
屈筋腱は約16〜17㎜の滑動現象が見られます。

PIP関節の側副靭帯と靭帯性腱鞘の動きでの変化

側副靭帯では運動域全般で大きな差はないですが、臨床的には、屈曲30度前後で緊張が高まるようです。そのため、屈曲30度での側副靭帯の側方への伸張を行うのが有効と考えられます。
輪状型靭帯腱鞘は、腱の浮き上がりを防止し、十字形靭帯性腱鞘は屈曲とともに起始・停止が近づき、腱の浮き上がり現象を助ける働きがあります。十字形靭帯性腱鞘は可動域全体に伸展させておくことで伸張できると考えられています。輪状型靭帯性腱鞘に関しては有効な伸張方法の報告はないようです。

屈曲拘縮

掌側板、十字形靭帯性腱鞘、手綱靭帯は短縮傾向が起これば、自然とPIP関節の屈曲位をとります。
脳血管障害患者の屈曲障害では、その部分での肥厚がみられることが多いです。両手の触診での比較では、非麻痺側は柔らかいが、麻痺側は固く肥厚していることがわかります。そのため、自動運動ができない場合には、常に動かしておくことが重要となります。患者教育として、PIP関節を(手全体)動かしておくよう指導することは初期段階から必要になってきます。
習慣的に屈曲位をとると、背側は伸張され、指伸筋腱は引っ張られます。また側索間は開き、伸張され、伸筋腱の滑動性は低下します。掌側は短縮を許すことから、手綱靭帯・手綱靭帯、側副靭帯の短縮、十字形靭帯性腱鞘の滑動性の低下が起こります。そのため、まずは屈曲、伸展全可動域において動かすことが重要になります。

PIP関節の可動域訓練(従来の方法)

◯伸展
基節骨を固定し、中節骨を牽引しながら、伸展方向に徐々に動かしていきます。
この時運動の切り替えはゆっくり行い、痛みは最小限にします。
関節面を旋回するように運動を誘導することが重要です。

◯屈曲
他動的に屈曲域を拡大します(掌側板への圧迫)。この時、屈曲自動運動も行うこともあります。
痛みがあるときは、牽引を加えながら、屈曲域を拡大していきます。

可動域訓練①関節面を旋回するように動かす

PIP関節は螺旋関節であり、関節面を滑るようにしながら屈曲、伸展運動が起こります。その際、多少の回旋運動も生じています。そのため、他動的可動域訓練では、牽引を加えながら、関節面を旋回させ、滑るように動かすことが重要です。
側副靭帯の短縮は、指の動きを動きづらく、違和感を感じさせることになります。そのため側副靭帯の伸張も重要になります。

可動域訓練②伸筋腱の滑動性の確保

自動運動(随意的収縮)を促し、腱滑動を高めます。
自動・自動介助運動で全可動域の運動を行い、同時に最大収縮(虫様筋、骨間筋)を促します。
PIP関節だけでなく、MP関節も伸展させることで、内在筋の伸張も行うことが重要です。
PIP関節を伸展させると、両側の内在筋が働いて、2つの側索を近位に引っ張ります。それと同時に側索は内側に向かいます。一方、屈曲では側索は遠位に引かれながら両側に少し開きます。このことからPIP関節の屈曲伸展運動は、側索の3次元的で複雑な運動を保つことが重要になります。これには随意的な筋収縮を起こしてもらいながら可動域訓練を行うことが大切になります。

可動域訓練③手綱靭帯の伸張と、掌側板の伸張

PIP関節は屈曲傾向があるため、掌側は短縮を許します。
掌側靭帯の伸張では、手綱靭帯の伸張と、掌側板そのものの伸張を考える必要があります。
◯手綱靭帯の伸張
30度前後に屈曲し、斜め遠位方向に牽引しながら伸張します。
掌側板の伸張前に行います。

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◯掌側板の伸張
中間位で長軸方向に牽引を加えながら矢状面を背側に向けて伸張します。

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◯手綱靭帯と掌側板の伸張
遠位に牽引を加えながら、徐々に背側に旋回させていきます。

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可動域訓練④側副靭帯の伸張

脳血管障害患者の手の使用において、側副靭帯の伸張を行うと手を使いやすくなるということもあるようです。

基節骨を固定し、屈曲20〜30度でゆっくり平面上を回旋するように側方に動かし伸張します。
側副靭帯の緩みが出たら、PIP関節を牽引しながら、側方に動かします。
*側副靭帯が伸張されると、他動的に全可動域の伸展が可能になりますが、自動運動では内在筋の筋力、腱の滑動性低下により10度程度のラグが起こることもあります。

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参考文献