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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中運動麻痺における麻痺側機能強化の考え方ー筋出力向上を中心にー

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以前運動麻痺に関する記事で、皮質脊髄路の障害により、神経原性の筋力低下が起こることを説明しました。今回、運動麻痺の麻痺側機能強化の考え方として、筋出力の向上を中心に据え、文献を参考に知識を整理していこうと思います。

 目次

脳卒中運動麻痺における麻痺側機能強化の考え方ー筋出力向上を中心にー

筋力強化は麻痺側機能を悪化させるのか

よく麻痺側の筋力トレーニングを行うと、麻痺側の筋緊張が過度に高緊張になってしまったりすることで、運動麻痺の回復を阻害してしまうのではないかということが議論になります。
結論から言うと、筋力トレーニングが筋緊張を過度に高めてしまったり、運動麻痺の回復を阻害するというエビデンスはありません。

麻痺側の機能強化の必要性

麻痺側の機能強化をするには理由があります。麻痺側を強化し最大の力を発揮するのではなく、余裕がある範囲で力を出すことで、麻痺側は緊張せず比較的自由な運動が可能になります。そのため、余裕の範囲で力を出すために力を最大に強化する必要があります。
様々な動作において、痙性が出現しないようにするためには、余力を持って動作する必要があるた、強い筋出力・筋力が発揮出来る機能を有することが大切になります。

筋出力強化と筋力強化

麻痺側の筋への出力を強化することは、単に筋力を強化することではありません。筋が強く収縮して強い出力を出すためには、中枢神経の出力が空間的・時間的に収束し、その状態を持続する必要があります。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P111

筋出力となっているのは、中枢神経系の損傷では、中枢の運動出力の空間的・時間的な量の変化が筋力となって現れているためです。
筋出力の強化には量的な増加だけでなく、神経活動の調整という質的な改善を含んでいます。

動作法の選択

ある目的をなすための理にかなった動作方法を選択し、動作方法を指導していきます。

動作方法の指導は、最適な動作の遂行を出力の空間的広がり(活動に参加する筋・筋繊維の選択と広がり、その筋の活動・抑制をつくる運動神経の活動の広がり、運動神経への出力プログラムをつくる制御に関する中枢神経の活動の選択と広がり、制御系に送る記憶・感覚の信号の選択と強化の広がり過程など)を時間的変化として表すことです。

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抵抗の加え方

筋出力の強化には、抵抗を用います。ある動作に抵抗を加えることで、動作の出力を高めて記憶を強めることが重要です。
動作を実用レベルにしていくには、抵抗により動作を再生させ、その動作にさらに抵抗を加えていくことで強化していきます。徒手抵抗では正しい動作方向の反対側に抵抗を加え、筋出力の強さを時間とともに作っていきます。
抵抗は間欠的・断続的に繰り返していきます。動作が確実になれば、スムーズな動作にしていくため、抵抗を一定持続や瞬時、そして抵抗なしへと進めていきます。
抵抗を加える際には、変化する動作を予測、追随しながら常に正しい動作の反対側に抵抗を加える必要があります。動作の状態に合わせて、間欠的、断続的、一定、瞬時の抵抗、抵抗なしを組み合わせて、最終的に抵抗なく動作できるようにしていきます。

抵抗を加える場合のリスク管理

骨粗鬆症が進行している場合、抵抗の調整が必要です。この場合には持続抵抗にし、抵抗の力も低く調整する必要があります。また、関節運動を起こす際に、関節の近位部に抵抗を加えることで加える抵抗の強さ、量の調整が可能になります。
目標の抵抗力に上げるまでの時間を長めに設定し(変化量を調整)、段階的に少しずつ上げていくなどの配慮も必要です。関節保護も重要で、関節が動揺しないように保護しながら抵抗を加えていきます。
高齢者の場合、まず全身的な耐久性を向上させることから始める必要があるかもしれません。この場合、脈拍・血圧の変化などを指標にし、途中休憩を入れながら、翌日に疲労が残らないようにします。また、週3〜4回の頻度で動作ができるかを評価し、その適正量が訓練を行う際の許容範囲と考えます。
肺の換気機能の低下や、末梢循環障害の方にも、抵抗と収縮時間、休憩の取り方などを調整する必要があります。

休憩の取り方

休息をうまく取ると、動作の記憶が定着し、動作が強化されていきます。しかし、休息を取らないでいると、疲労が現れ、動作は失敗しやすくなります。疲労した状態で休息をとると、ノイズの多いプログラムの記憶が残ってしまいます。
できなかったことが少しでもできたら賞賛を与え休憩をとります。休憩後、疲労が取れたと判断したら(わずかな表情の変化など)、動作を再開し、力強さを増した「できる」を増やしていきます。
ある程度動作を行っていると、明らかな失敗が動作の一部に現れるようになります。この時がこの回の目一杯で行える許容範囲の限界であり、その後は疲労により動作は悪化していきます。この時は失敗だけが記憶されることになるため、休息が必要になります。
疲労の兆候を知ることで、疲労前に休憩が行え、適切な機能へ導くことが可能になります。

出力を鍛えることが筋力強化となる

出力を強化することで、筋力強化となり、身体機能が向上していきます。
筋力を強化するには、10回繰り返すことができる最大筋力の一定割合以上(2割以上、確実は6割)を必要とする運動を行います。
1日に10回の繰り返し運動を3セット以上行い、週2日以上行うと強化できると言われています。
患者の状態に合わせ、量のコントロールを行うことも必要です。