自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

プッシャー症状のリハビリプログラムー感覚の統合と感覚入力ー

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プッシャー症状のメカニズムと輪を使用したプログラムについては以前記事にしましたが、今回は、感覚の統合と感覚入力という、感覚を中心に据えたリハビリプログラムについて、文献を参考に整理していきたいと思います。

 目次

プッシャー症状のリハビリプログラムー感覚の統合と感覚入力ー

引用・参考文献

視覚と触覚の統合

視覚と触覚の統合を図り、プッシャー症状の改善を試みていきます。
必要物品は全身鏡です。
①鏡の前に座り(立ち)、鏡に手を触れ、手と鏡に写った手のとの一致を確認します。
②患者は目で自分の麻痺側の肩を見ながら、非麻痺側手で肩に触れます。
③麻痺側の肩に触れたまま、鏡で身体の状態(麻痺側の肩が下がっているか)を確認します。
④鏡の前にひもを垂直に垂らし、それを見て身体を正中位にもっていきます。

この時、患者にどのくらい傾いているか読み取っているかを確認することも大切です。答え方は角度、距離、長さ、かなり、少し、だいぶなどと様々です。鏡を見た時点で傾きがわかる方は、鏡に真っ直ぐな基準となる線をイメージできたか、脳内に写された姿の傾きを読み取ったかなどと推測できます。
傾きを読み取れない場合には、④のひもなどで基準線を示す必要があります。しかし、身体が傾いた状態では視覚的な垂直と実際の垂直が同じになるとは限りません。そのため、妥当な範囲の基準となる垂直を提示する必要があります。

視覚と頭頸部、内耳

体幹だけではなく、頭部の傾きに対しても修正していく必要があります。
頭部の傾きは体幹の動きに連動した傾きの場合や、内耳の情報処理に問題がある場合が考えられます。

視覚的に頭部の傾きを修正する場合
①鏡を見ながら、頭部が傾いていることを確認します。
②頭部を立てて、正中位にしてもらいます。(「頭を立ててみて下さい」「(頭を触りながら)一緒に頭を立てましょう」)
③頭を立てることができれば、両肩が水平になるよう声かけ誘導、または肩に手を置き動作を誘導しながら立ち直りを促す。

内耳の感覚で頭部の傾きを修正する場合
①患者の非麻痺側のこめかみ周囲に軽くタップし、非麻痺側へ眼球を移動させる(「非麻痺側方向を見てください」)
②両手で患者の頭部に触れながら、正面に顔を向けるように誘導する(「正面に向いてください」)
③頭を立てることができれば、両肩が水平になるよう声かけ誘導、または肩に手を置き動作を誘導しながら立ち直りを促す。

視覚を頭部の動きに対し先行させることで、視覚と内耳の平衡感覚の乖離を防ぎ、めまいや違和感が生じないようにさせています。

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深部感覚入力

体幹の脊柱起立筋群の筋や腱の感覚、脊椎骨間の関節の感覚、臀部の圧の皮膚感覚などに対し、感覚入力をし姿勢を修正することも考えられます。
①患者の麻痺側肩に手を添え(肩峰から上部僧帽筋停止部)、非麻痺側臀部、坐骨に向かい押し込むようにタップし、手を元の高さに戻します。

このようなタッピングを間欠的に加えることで、体幹の立ち直りが期待できます。

片麻痺患者の場合、麻痺側への入力が減少しているため、これまでと同じように座ると「麻痺側臀部への荷重量が少ないと感じ、そのため非麻痺側に姿勢が傾いていると認識する」のです。そこで、患者は麻痺側への荷重量を多くして、左右の荷重量を釣り合わせようとします。しかし実際には、これまで左右が等しい荷重量となっていたとしても、さらに麻痺側への荷重量を上乗せしたため、麻痺側への荷重量が多くなってしまい麻痺側に傾いてしまうのです。このため、片麻痺患者は麻痺側に傾いた姿勢をとっているのです。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P30

タッピングで麻痺側への感覚入力を行うと、麻痺側への荷重量が増加したと認識され、体幹を立ち直らせて左右均衡のとれた体重支持にしようとします。そして立ち直った状態でも、左右の荷重量が等しいと認識し、姿勢の保持を促すことができるようになっていきます。

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