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手の指の関節の動き、痛みの解消法!MP関節のリハビリテーション

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MP関節は手の把握動作において重要な役割を果たします。MP関節の関節可動域、関節の生理学的動揺性がないと、スムーズな手の握りやつまみ動作は行えなくなります。
今回MP関節の可動域改善に向け、知識の整理と訓練方法について、文献を参考にまとめていきます。

 目次

手のMP関節の可動域改善に向けてー知識の整理と訓練の実際

骨の構成

中手骨頭の関節面と基節骨基部(関節窩)の関節面の半径を比較すると中手骨頭のほうが小さく、関節運動をとらえる上では旋回運動の再現が必要となります。

骨と靭帯

掌側には靭帯とも言われる掌側板があり、繊維軟骨で近位部(中手骨側)では短縮しやすく、遠位部ではそれほど短縮しにくいと言われています。
橈側の側副靭帯は斜め下に走行し、尺側はそれほど斜めには走行していません。そのため、運動の際回旋運動が入りやすくなっています。

MP関節の断面

両側に側副靭帯があり、橈側には虫様筋が掌側から背側に向かいらせん状に走行する。そのため、虫様筋は回旋運動を起こす可能性があります。
掌側部に掌側板があり、輪状型の靭帯性腱鞘があります。この中には深・浅指屈筋腱が存在します。

MP関節の運動と筋

運動:屈曲、伸展、内転、外転、ぶん回し

筋:

 

MP関節

PIP関節

DIP関節

虫様筋

屈曲

伸展

伸展

浅指屈筋

(屈曲)

屈曲

 

深指屈筋

(屈曲)

(屈曲)

屈曲

指伸筋

伸展

(伸展)

 

()は補助筋

軽いグーパーは深・浅屈筋によって行われ、あとはそれぞれの筋の自然張力によってコントロールされています。

虫様筋:
4つ。背側に向かって走行し、指伸筋の側索に合流し、PIP,DIP関節の伸展に作用します。第1、第2虫様筋は正中神経支配、第3、第4虫様筋は尺骨神経支配です。
虫様筋のMP関節での侵入角は35度のため、屈曲に作用します。
背側骨間筋の侵入角は0度、掌側骨間筋の侵入角は25度で、屈曲していくと、MP関節の運動軸よりも下に位置します。そのため握っていくと、2つの骨間筋も屈筋に作用しながら、MP関節の固定力を高める役割があります。

指伸筋:
腱と腱の間に腱間結合があるため、個別に働かせることができません。本来の伸展運動は、指伸筋腱が牽引することで、矢状索と骨間腱帽が一つのユニットとして引かれることでMP関節の伸展が可能になります。そのため、全体の滑動現象がないと伸展が不十分になります。

MP関節の靭帯と動きの変化

側副靭帯は中間位では緩みます。運動軸が背側にあるため、屈曲とともに伸張されます。そのため中間位では側方への動きは自由度は高いが、屈曲とともに動きがなくなります。伸張は70度程度で最大となり、側方への可動性がなくなります。
橈側は斜め、尺側はストレートに付きます。そのため、尺屈すると橈側の側副靭帯は回旋力を生みます。

MP関節の可動域改善に向けての考え方

手を机の上に乗せるとMP関節は伸展位でPIP関節はやや屈曲位となります。MPは関節は伸展優位で拘縮しやすいそのため、MP関節の屈曲方向への運動を常に保つ必要があります。
腱の活動現象を確保するために、自動運動にて全可動域を動かし、他動的関節可動域の確保も重要です。
指伸筋腱は伸展から全屈曲位まで16㎜程度の腱が滑ります。
屈筋腱(深指屈筋、浅指屈筋)は屈曲から伸展位まで23〜26㎜程度の腱が滑ります。
この動きがないと、指は十分に屈曲伸展できません。

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MP関節の他動的可動域

屈曲:90〜110度
伸展:個人差あるが約90度(自動では30度程度)
テーブルの上に手をついて立ち上がる際にこの可動域は重要です。
側方:35〜55度
回旋:30〜40度:側副靭帯の伸張にもなります。

屈曲位の確保の訓練方法

①随意運動で最大位まで屈曲し、力を抜いてもらう(筋を弛緩させる)
②痛みのない範囲で他動的に屈曲(全指屈曲で:MP関節を走行する全ての組織の活動性を高める)
*矢状索と共に指伸筋腱はMP関節背側部で腱の滑動を引き起こしています(腱の滑動性の確保)。

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伸展域の確保

①随意運動で最大位まで伸展し、その後手指を他動的に伸張させる
a.手指を中間位のまま自動伸展させ、その後軽く他動運動にて伸展域を広げる→同時に屈筋腱の腱滑動を確保する

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b.全屈曲位からMP関節のみを伸展させる →内在筋を伸張し、腱滑動を確保する

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c.2つのIP関節屈曲位からPIP関節のみを伸張する(MP関節は伸展)→浅指屈筋腱の間の腱活動を確保できる

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d.MP関節伸展位、2つのIP関節屈曲位でDIP関節のみを過伸展させる→深指屈筋腱の腱床での滑動現象を確保する

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側方、回旋域の確保

他動的側方(回旋)での運動域は、示指:55°(28°)、中指:42°(27°)、環指:36°(32°)、小指:52°(43°)であり、物を握る、ボールをつかむ際に役立ちますがそれには側副靭帯の伸張性が必要です。

①片手で手部を固定する
②もう一方の手でMP関節を中間位に保ち、かつIP関節を軽度屈曲位に保ちながら、回内外方向に回旋させる

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*写真では手部の固定はできていません。

側副靭帯の伸張

①片手で手部を固定する
②もう一方の手でPIP関節を保持し、回旋が加わらないように遠位部は他の手指で固定するMP関節約20°屈曲位に保ちながら、側方へ橈尺屈させる
*靭帯は橈側が斜め、尺側が縦に走行しているため、橈側の靭帯の伸張では回旋が加わらないように工夫する

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矢状面の動揺性の確保(掌側板の伸張)

掌側板の伸張性が失われると、屈曲伸展とも可動域の制限が出やすくなります。
①片方の手でMP関節の中手骨底を固定し、もう一方の手で基節骨を掌背側で固定し、上下に動かす
*最終域では伸張を加え、長軸方向に牽引を加える。

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掌側板全体の伸張:
①中手骨頭を固定し、掌背側で基節骨を固定し、斜め背側に動かす

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出典:手の関節の動き・運動の理解
*女性の方が可動性が大きい

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拘縮が進んだ場合の対応方法

屈曲拘縮が進んだ場合、「ミラクルグリップ」という商品があり、これは高反発素材により常に伸展方向に伸張刺激を加えるもので、拘縮改善の効果があると言われています。
リハビリテーション場面のみでは対応できない場合、導入をすることも検討します。

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参考文献