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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

肩腱板損傷における肩甲上腕リズムの重要性

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今回は、腱板損傷における肩甲上腕リズムについて、文献を参考にしながら整理していきたいと思います。

 目次

肩腱板損傷における肩甲上腕リズムの重要性

腱板損傷と肩挙上

新鮮死体を使用した生体力学的研究によると、棘下筋の3/5以上の断裂により外転トルクは有意に減少すると言われています。また棘上筋のみの断裂では肩挙上は可能ですが、肩甲下筋、棘下筋、小円筋から成るtransverse force coupleの破綻があると、三角筋の筋力を3倍にしても肩挙上が行えなかったとの報告もあります。

腱板損傷と疼痛

腱板損傷例の肩甲骨・肩甲上腕関節の動作解析によると、肩甲骨後傾方向への変化量が少なく、肩峰下腔の狭小化があり、特に外転90〜120°で最も狭小化したとの報告があります。これは、腱板機能不全や筋のインバランスによるものと考えられています。
一方、肩甲骨の後傾は術後の疼痛には関与せず、肩挙上時の肩甲骨外旋の変化量が疼痛に関与していたとの報告もあります。また、疼痛のある例では下方関節包が有意に小さかったとの報告もあります。
そのため、手術後の挙上位の保持、他動外転運動が重要になってきます。

腱板断裂と肩甲上腕リズム

腱板断裂例をDe Orio & Cofield分類にしたがって4群(massive tear:5㎝以上、large tear:3㎝から5㎝未満、moderate-sized tear:1㎝から3㎝未満、small tear:1㎝以下)に分類し、各群の肩甲胸郭関節の動きを健常人と比較検討した結果、挙上30〜60°間ではmassive tear群のみ健常人より有意に動きが大きかった。しかし、挙上90〜120°間では有意差を認めなかった。

理学療法ジャーナル Vol.42 No.10 P849

とあります。また、腱板断裂術後の肩甲上腕リズムについて

腱板断裂術後1年の患者における肩甲胸郭関節の動きは、small tearでは健常者と有意差がなかったが、moderate-sized tear以上の断裂では健常者より有意に大きかった。すなわち、moderate-sized tear以上の断裂では、手術をしても、術後1年では肩甲胸郭関節の動きは正常には回復していないことを示していた。

理学療法ジャーナル Vol.42 No.10 P849

とあり、このことからも、肩甲上腕リズムの再教育がリハビリでの重要事項になることが考えられます。

正常な肩甲上腕リズムを獲得するための治療方針

腱板が修復されても、腱板機能がすぐに回復することはありません。そのため、早期から正常な肩甲上腕リズムを獲得することは困難です。
大まかな治療方針としては、腱板機能が回復するまでは外在筋の過剰収縮を防ぎながら、腱板筋への運動負荷の調節を行いながら動作のフィードバックを行う事が大切になります。
過剰な負荷は外在筋による代償運動が起こるため、再断裂の危険があるため注意が必要です。