自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中運動麻痺〜一次運動野と皮質脊髄路による捉え方の違い〜

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少し前になりますが、琴の浦リハビリテーションセンター、作業療法士の小林崇先生のセミナーを受ける機会がありました。テーマは「運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」でした。運動麻痺の捉え方とその評価、治療方法の選択への考え方、道標が得られるとても良い機会になりましたので、その内容を復習しながら整理していきたいと思います。

 目次

脳卒中運動麻痺の評価と治療のための解釈に向けて

腕や足が思うように動かない原因は何か

患者様の腕や足が思うように動かない原因には何があるでしょうか。
運動麻痺があるから、筋緊張が高いから、感覚障害があるから、関節可動域制限があるから、高次脳機能障害があるから…。
このように考えられうる原因には様々なものがあります。もちろん重複している部分もあるのですが、少しでもこれらの原因を詳細に評価できることが大切になります。
小林先生は詳細な評価により状態像を捉える事を、アンソニー・ロビンズの言葉を借りて「明確さは力である」と言っています。

一次運動野と皮質脊髄路錐体路)による運動麻痺の違い

運動麻痺は随意運動実行系の障害であり、運動の計画や調節(大脳基底核や小脳)の障害は関係ありません。
運動麻痺には一次運動野と皮質脊髄路錐体路)によるものがあります。これらの違いを知る事により運動麻痺の解釈が行いやすくなります。

一次運動野による運動麻痺の特徴

一次運動野には、身体部位に対応したマッピングがあり(体部位局在)、そこを刺激すると対応した身体部位の運動が起こります。

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

また一つの筋肉に出力しているだけでなく、複数の筋肉に出力している領域も存在します。

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

図を見てもわかるように、運動野Aが障害された場合には、それを補うために運動野AB、ACが働くことになります。この状態がいわゆる共同運動という現象になります。
一次運動野はスイッチの役割を担っており、一次運動野が障害されることにより分離運動が障害されることになります。

皮質脊髄路錐体路)による運動麻痺の特徴

一次運動野から出た皮質脊髄路は放線冠、内包、大脳脚を通って延髄の錐体で交叉して反対側の脊髄を下降して脊髄前角の運動細胞へと伝わります。
皮質脊髄路は筋収縮の強さ、すなわち
①何個の運動細胞が興奮するか(量)
②1つの運動細胞がどれだけ強く興奮するか(強さ)
という事に関与しています。
そのため、皮質脊髄路が障害されると、脊髄運動細胞の興奮が低下し、筋収縮が弱くなります。この状態を神経原性筋力低下といいます。

改めて運動麻痺とは

一次運動野から皮質脊髄路のどこかが損傷されています。
皮質の障害であれば、分離運動障害が生じます(Brs-stageⅠ〜Ⅲ)。
皮質脊髄路の障害であれば、筋力低下が生じます(Brs-stageⅣ以上)。

個人的解釈

先ほどまでは小林先生の解釈でしたが、私の中では筋収縮力の低下にはそれに加えて各関節の生理的可動範囲が保たれているかということも重要になると考えています。関節可動域が制限され、痛みなどもあるとどうしても筋収縮力の低下がありますので、その点も含めて状態像を捉える必要性があると感じました。