自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

関節拘縮の考え方、捉え方

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臨床場面では肩関節の障害に触れる機会が多くあります。そのなかでも、拘縮のリハビリテーションとなると、なかなか大変で、どのように考え、どのような戦略のもとリハを進めていったらよいのか迷うこともあると思います。そこで今回は、関節拘縮の基本的な考え方について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

関節拘縮の考え方、捉え方

関節拘縮と疼痛

関節周囲には様々な感覚受容器が存在します。疼痛を感じ取る受容器は自由神経終末と言い、肩関節では肩峰下滑液包に多く存在しています。
自由神経終末は、肩関節周囲炎や腱板断裂などで多く認められています。

拘縮性運動障害

拘縮性運動障害では、関節運動が起こる際に、生理学的に伸びるはずの組織が伸びなかったり、滑走するはずの組織が滑走しないため、可動性や安定性が失われている状態です。
肩関節運動において、ある部位の拘縮が上腕骨頭の求心力を乱し、運動の正常な軌道から逸してしまいます。このような状態では、筋攣縮や疼痛が発生しやすくなります。
このような状態に対するアプローチとしては、関節周囲の組織の伸張性と滑走性を回復させることが重要になります。
ぱっと見たところ可動域制限のない関節でも、小さな拘縮が隠れていることもあります。

疼痛性運動障害

疼痛性運動障害は、炎症を基盤として発症し、疼痛により関節運動が制限された状態のことを言います。
拘縮は認めないが、炎症があるために侵害受容器の閾値は低くなり、関節運動が起こると疼痛が容易に引き起こされやすくなっています。炎症が想定される部位へのブロック注射は、治療の方向性が定まりやすくなります。注射の効果が高ければ炎症部位が明確化され、リハを行う上での情報源となります。さらに、消炎鎮痛のための薬物療法も、疼痛をコントロールする手段として有効になります。

関節拘縮と筋力低下

筋力は、筋繊維の横断面積の増大、筋繊維数増加により増強されます。また、廃用などで筋容量が減少(筋繊維の数と太さの減少で筋萎縮が起こる)すると筋力は低下します。
筋出力は、運動ニューロンの興奮、筋繊維が収縮する割合により大きくなります。
筋攣縮や拮抗筋の緊張が高いと、筋力低下や筋萎縮がなくても筋力が発揮しにくいことがあります(神経伝達物質が減少するため、適切な筋収縮が行えない)。
そのため筋力、筋出力を高めるためには、正常な関節の運動範囲と、生理的な関節運動を行うための安定した関節を確保しておかなければなりません。

関節拘縮と筋力強化

関節の可動範囲が狭いと、筋力や筋出力を発揮できる関節角度は限られてしまいます。そのため、関節拘縮があると限られた関節可動範囲のみでしか筋力強化や筋出力の増大ができなくなります。
関節拘縮があると生理的な関節運動から逸して不安定性を伴い、疼痛や筋攣縮を発生させやすくなります。それにより筋出力は不足し、このような条件で筋力強化を行えうと逆に筋萎縮を助長させてしまうこともあります。そのため、筋力強化の際には関節運動が確保されている状態で行うべきです。

安定した関節と不安定な関節

安定した関節であれば、関節可動域制限のあるなしに関わらず関節周辺部の疼痛は認められません。また不安定な関節からは、関節周辺部の疼痛を認めます。

安定した関節
①正常な関節
疼痛、筋力低下、可動域制限がなくあらゆる方向にスムーズな関節運動がある状態
②不動な関節
関節固定術、変形性関節症末期などの関節運動が全くできない状態。関節には関節運動を行わせる軸があるが、その軸が失われると不動となり、力学的な負荷が関節にかからなくなる。そのため疼痛はなく、関節機能も失う。その関節をまたぐ単関節筋は、筋の伸張性や収縮する機会を失い、廃用性筋萎縮が進む。

不安定な関節
①不安定症を伴った関節
解剖学的に破綻した関節で、関節唇損傷、関節窩損傷、関節包の緩みなどで関節内圧を陰圧に保てず、求心位が保持できない状態。代表疾患としては外傷性肩関節脱臼、習慣性肩関節脱臼など。②拘縮を伴った関節
伸張性、滑走性障害された組織が硬度バランスの差異を生み出すことで、骨頭を軌道内に留められず、求心位に保持できない状態。
関節運動に伴い硬度の高い組織から低い組織に骨頭が逸脱し、不安定関節となる。

参考文献

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