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失行のメカニズム(道具操作障害):AIPーF5による操作運動の制御

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失行の道具操作障害のメカニズムについて文献を参考にしながら知識をまとめていきます。

 目次

道具操作障害のメカニズム

手操作運動(物体を対象にした手指の運動)と頭頂葉

手操作運動には頭頂葉の外側(AIP野、PF野)が関与しています。
AIP野:前頭頂間溝→3次元物体をコードするニューロンが存在する。
PF野:下頭頂皮質
頭頂葉で処理された視空間情報は前頭葉の運動関連領野に送られます。この頭頂葉ー運動関連領野の結合ですが、AIP野、PF野は腹側運動前野(F5)への投射が見られます。

2次元と3次元情報による手操作運動の違い

物体の2次元情報と3次元情報による手の操作運動を比較した実験において、3次元に見える条件(りんご)の場合、手で包み込むようにしてつかむことが観察されました。一方、シルエットの2次元情報ではディスクをつかむように、親指と人差し指でつかむ様子が観察されました。
このことから、手の運動は視覚情報の次元により異なることがわかります。

視覚情報の処理をする脳部位

先ほどの説明で、物体を手で操作するには3次元情報が大切になる事が理解できました。操作対象の3次元情報をする脳部位はCIP野と呼ばれる、頭頂間溝尾側領域になります。 CIP野では、平面軸や3次元的な傾きに関する情報が処理されます。またこれらは両眼視差やテクスチャー(物の表面の質感・手触りなどを指す概念)の勾配、輪郭などを手がかりにしています。

操作運動に関連して活動する3つのニューロン(操作運動ニューロン

AIP野では、操作運動に関連して活動する3つのニューロンが存在します。
視覚優位型:視覚性信号のみが入力される→対象の形状・構造を認識する。

視覚・運動型:運動性信号と視覚性信号の両方を入力する→対象と運動のマッチングを行い、運動をモニターする。

運動優位型:運動性信号のみ入力する。
運動性信号(API野での運動優位型)に関しては、運動前野腹側部(F5)にある操作運動の選択を行うニューロンの遠心性コピーである可能性が考えられており、出された運動指令をもと自己の運動との比較を行っていると考えられています。

AIPーF5による操作運動の制御(流れのまとめ)

①CIP野で操作対象の3次元的特徴に関する情報を処理する。
②AIP野で視覚優位型ニューロン→視覚・運動型ニューロンを介してF5に伝達。
③F5で対象に合わせた手の運動パターンがレパートリーの中から選択、実行される。

このように、視覚の座標(網膜中心、頭部中心、身体部分中心、物体中心など)に合った脳内プログラムを取り出して運動を行っていることがわかります。
AIPーF5による操作運動の制御は脳卒中片麻痺者の運動麻痺に対するリハビリテーションにも重要な考え方となり、手の把握・操作運動に関与しています。詳しくは以下の記事を参照してください。

happyhealth.hatenablog.com

参考文献

村田 哲(2004)「手操作運動のための物体と手の脳内表現」『VISION』Vol. 16, No. 3, 141–147.
泰羅 雅登 (2012)「頭頂葉:視覚と運動のインタラクション」『認知リハビリテーション』VOL.17,NO.1,9-16.